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サラダバーで結納

本当によくあるブログ。作品の感想や思ったことを書いているブログ。

「大栗先生の超弦理論入門」 空間とか幻想だし

科学

今現在最もホットな宇宙論といえば超弦理論です。

その第一線級の研究者である大栗博司氏が書いた本がこの本である。

大栗先生の超弦理論入門 (ブルーバックス)

大栗先生の超弦理論入門 (ブルーバックス)

 

超弦理論がなぜ弦理論 ではなく超弦理論なのか、なぜひもで考えるのか。

そういったまさに入門といった話から始まっている。

 

超弦理論でやりたいこと

そもそも超弦理論で何がしたいのかというと、重力の理論と量子力学を統一的に説明したいのだ。

これができる有力な理論が超弦理論というわけだ。

 

 

なぜ弦で考えるのか

電子やなにやらはすべて点粒子で考えられてきた。

だが、それには問題があって「点」で考えるとどうしても無限大の問題がでてきてしまうのだ。

しかも、簡単に電子の質量が無限大になったりしてしまうので、そんな理論はおかしい。

そこで「くりこみ」というアイデアが用いられ解決したかに見えたが、どうもそれでもうまくいかなくなってきた。

そこで「素粒子を拡がりのあるもの」として考えたのが弦理論だった。

 

弦理論では素粒子を弦の振動状態で作り出せるというのだ。

弦の振動の仕方で光子になったりするというのだから不思議なものである。

そんな便利な弦理論だが問題があった。

それは、素粒子には17種類ありそれらをフェルミオンとボゾンの2つに分けられるのだが、弦理論ではボゾンしか作り出せなかったのだ。

そこで考えだされたのが超弦理論である。

この超弦理論ならばフェルミオンも弦の振動状態で作り出せるのだ。

 

 

なぜ超弦理論は9次元なのか

そもそも、なんで9次元空間なんてものを導入しなきゃいけないのかという話になる。

これは光子の質量をゼロにするためである。

量子ゆらぎのエネルギーがあるから止まっていてもエネルギーはゼロにならない。

エネルギーがゼロにならないということは、質量もゼロにならない。

だが、それに9次元空間を導入すると光子の質量がゼロにできるのだ。

この式の詳しい説明は本を読めばいいから割愛する。

 

なぜ超弦理論が9次元なのかといえば、光子の質量をゼロにするためであるので、始めから9次元ありきで始まっているのが超弦理論なのだ。

 

 

もうこれぐらいで超弦理論の基礎的な説明は終わった。

ただこの本はここからがえげつないことになっていく。

超弦理論には5種類あって、それぞれにうまくいくところとうまくいかないところがあった。

だが、10次元の超重力理論というのが出てきた。

こいつは5種類の超弦理論を「双対性」というもので関係づけることができる。

この10次元の超重力理論と9次元の超弦理論の違いは、もはや「弦」が基本単位ではなくなったことだろう。

今まで「弦」が基本単位だったのに、10次元の超重力理論では「膜」が基本単位になる。

基本単位は最初点粒子だったのにいつしか1次元の弦を経由して2次元の膜になったのだ。

超弦理論の弦すらもう残っていない。

 

 

だが、ここで弦が消えてしまうかといえばそうではない。

Dブレーンというやつがある。

こいつは、2次元の「膜」に「開いた弦」がくっついたもののことをいう。

こいつを使えばDブレーンの性質が解明できるというのだ。

すべて2次元の「膜」で説明がつくかとおもいきや、また「弦」の存在が必要になったのだ。

ついでにこの「開いた弦」は、ブラックホールの温度が「開いた弦」の運動で説明できたので「ブラックホールの分子」の正体とわかった。

あと、この「開いた弦」はブラックホールの表面「事象の地平線」に張り付いていて、しかも「開いた弦」には重力子が含まれていないから重力もない。

そんなことから新たな発想がでてきた。

ブラックホールの内部で起きていることはその表面を見ただけですべてわかる

 ということだ。

 

 

空間は幻想

ブラックホール事象の地平線の内部の性質は、表面に張り付いている「開いた弦」だけで説明できる。

で、マルダセナという人物が対応関係を調べたら9次元の超弦理論と3次元の場の量子論が同等であることがわかった。

同等というのは、計算結果が同じということである。

 

で、結局これで何が言いたいのかといえば、9次元空間の理論と3次元空間の重力を含まない理論の結果が同等だとすると、じゃあ「空間」ってなんなんだよという話になるわけだ。

マクロな世界で感じている温度や空間や重力は、ミクロの世界にいくと二次的なもので本質的なものじゃない ということになる。

空間は幻想ということだ。

 

 

 

えげつない結論になってしまったこの本。

空間が幻想と言われてピンとくる人間が果たしているのか?

だって、今俺が存在しているこの空間は確かにあるんだ。

 

初めて相対性理論を理解したときの衝撃は人生を変えてしまったのは言うまでもない。

だって、この宇宙の見方が変わったんだから。

で、この本を読んで空間は幻想だと知ってしまったら、もうこの世の中は一体全体なんなんだということになる。

「空間あると思ってんだろ? じつは幻想なんだぜ」と小学生相手に言ってみるといい。

頭がおかしい人扱いされるに決まっている。

でも、空間が幻想というのがこの宇宙の本質だというんだ。

もはや経験上知っている宇宙観など、最新の宇宙論では役に立たないどころか真っ向から否定していかなければならなくなっている。

たくさんの宇宙論の本を読んできたが、ずいぶん遠くへ来たものだ。

 

だが、ここで終わらない。

まだ遠くへ行くことになりそうだ。

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