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サラダバーで結納

本当によくあるブログ。作品の感想や思ったことを書いているブログ。

「賢者の戦略」

前に書いた「知の武装」の1年後に発売された本。

佐藤優と手嶋龍一の対談は年末恒例みたいな感じになっていると言っても過言ではない。

賢者の戦略 (新潮新書)

賢者の戦略 (新潮新書)

 

 第一章は当然ウクライナの話。

”二十一世紀の火薬庫「ウクライナ」”というタイトルがついている。

読む前は火種になっているという意味なのかと思ったが、文字通りウクライナは火薬庫だった。

というのは、2012年の武器輸出額が世界第4位なのがウクライナだからだ。

 

佐藤優は21世紀を帝国主義の時代だと主張する。

だが、昔ながらの帝国主義ではなく貿易などを通じて「外部領域」を確保していくのが21世紀型の「新・帝国主義」なのだというのだ。

ドイツにとってはEUがそれにあたる。アメリカや日本のそういった方法で「外部領域」が必要だと解き、TPPにはそういった側面があると主張しているのだ。

なのに帝国主義は必要だが貿易などの方法をとるべきなのに、プーチンはクリミア併合という19世紀レベルの方法をとったのだ。

で、結果としてG7はロシアを追い詰めていくわけだが、これをやり過ぎるとロシアは中国とイランに接近し、この3国のつながりが強くなる。

で、中国はロシアやイランから天然ガスや石油をたっぷり売ってもらえるので、東アジアで膨張戦略をとることができるようになるとのこと。

 

 

第二章はイスラム国の話。

イスラム国などが調子にのりはじめたのは、2012年のオバマが原因だと言う。

シリアが化学兵器使ったことがわかったのに、このとき武力介入しなかったので、オバマがあのへんのやつらになめられたのだ。

それによってアメリカはなにもしてこないということでイスラム国が拡大していったということだろう。

今アメリカはISに空爆してますが、2012年にシリアに空爆しなかったことがここまで影響を与えたというのは、なめられたら終わりだということがよくわかる事例だと思う。

 

 

第三章は東アジアの話。

北朝鮮と日本の関係が少しずつ改善していると分析している。

その中にピンポン外交の話がある。

1971年名古屋で行われた世界卓球選手権に当時日米と国交のない中国の選手団が招かれました。

これをきっかけに、アメリカの選手団が日本から北京へと招かれたのです。

厳しい冷戦のころだったので一大事件だったとのこと。

そして、このピンポン外交によって翌年の1972年のニクソン大統領の訪中につながったというのだ。

日本と北朝鮮の場合は2014年に安倍首相が北朝鮮の選手団のビザの発給を認めたので、これもピンポン外交になるかも?といった感じです。

 

 

第四章は集団的自衛権の話。

公明党が解釈に制約をかけているといった話や、国連の「集団安全保障」の話が紹介されている。

この「集団安全保障」の話には驚いた。

というのも、国連に加盟していると集団安全保障に参加する責務を担っている。

しかも、国連の集団安全保障への参加は日本国憲法の及ばない分野であり、日本の自衛隊が参加することは憲法にふれないという見解を条約官僚はとってきたというのだ。

国連安保理の決議があれば自衛隊国連軍多国籍軍に派遣できて、戦闘行為にも原則は参加できるというのだ。

で、今まではこれで通ってきたのだが、礒崎陽輔参議院議員が「集団安全保障は今回はやめましょう」と総理の同意をとりつけたもんだから、今まで通ってきたものがすべて台無しになったというのだ。

最近も「法的安定性は関係ない」などといって問題をおこしている礒崎陽輔

 

 

第五章は反知性主義へのレジスタンスというタイトルだ。

佐藤優は後世の歴史家が2014年を新たな危機の年として記述するかもしれないという。

ウクライナで異変がおき、イスラム国が猛威をふるい、東アジアでは中国が南シナ海で周辺国と衝突し、香港は民主化デモ、日本では戦後のタブーに挑んで集団的自衛権の行使に踏み出した。

それが2014年であり、新たな危機の年だと言えるかもしれないのだという。

 

 

アメリカは孤立主義にいくのか、中国は緊張状態をつづけるのか、イスラム国はどうなるのか。

まだまだ先はわからない。

 

動乱のインテリジェンス(新潮新書)

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知の武装: 救国のインテリジェンス (新潮新書 551)

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