サラダバーで結納

本当によくあるブログ。作品の感想や思ったことを書いているブログ。

「時速250kmのシャトルが見える トップアスリート16人の身体論」

スポーツを見ている時というのは、素人では単なる攻防にしか見えない。

だが、トップアスリートともなるとそこには独特の世界が創りだされている。

 

オグシオでお馴染みだった潮田玲子選手は「苦手なところは空気が濃い」という。

コート上で自分の得意な場所と苦手な場所があり、苦手な場所は空気が濃く感じられるというのだ。

まったくもって素人には理解できない感覚だろう。

天井が高いとシャトルがなかなか落ちてこない感じがするというし、相手が打った瞬間にアウトだとわかるという。

トップアスリートの身体感覚とはそういうものなのだ。

 

 

卓球の松下浩二選手は「同じレベルの相手なら打つ前に8割ぐらいコースがわかる」という。

自分が送ったボールの変化、身体の回転軸、顔全体、手の構えから判断すればわかってしまうというのだ。

自分がラケットでボールを打つ時も、球とラケットの摩擦や粘りを手で感じられるというし、相手が打ってきてから打ち返すまでの時間なんて0.5秒ほどしかないのに自分の中ではお茶を飲んでいるようなゆったりとした空間を感じているという。

まったくもって理解できそうにない世界である。

 

この本はこういったアスリートの感じている世界についてインタビューした本である。

人間というのはここまで行けるのかと思わずにはいられない。

あまりにも現実離れした感覚の数々に度肝を抜かれるだろう。

 

 

ここで一つトップアスリートレベルには及ばないが私が体験したことのある話をしよう。

小学校6年生の時、バスケットボール部に入っていてレギュラーだった。

ポジションはゴールしたのリバウンド。

誰かがシュートを打つ度にジャンプして外れたボールをキャッチするのが仕事なので、誰かがシュートを打つ→外れる→ジャンプする→キャッチする→着地と同時に周りを見る→パスをだす。

これを何度も何度もやっているのだ。

周りをみてからパスを出すまでにかかる時間はだいたい1秒ぐらいだ。

見渡した瞬間にすべての他の選手の場所を認識し、パスが通る人を瞬時に判別できる。

 

ある大会でいつもどおりシュートが外れたボールをキャッチした。

その時は敵がシュートを打ったので、自分達のチームはコートの反対側に向かって責めなければならない状況だ。

ボールをキャッチして着地して周りをみた。

その瞬間、自分がいる位置からコートの反対側までの道のりに誰一人として人が経っていないことを認識した。

そのとき頭をよぎったのは「あれ、これならドリブルで突っ切れるんじゃね」ということだった。

ここまでの「着地して周り見渡してドリブルで走り始める」までにかかった時間はたぶん1秒ぐらい。

そのまま誰にも邪魔されずにゴールにドリブルし続けた。結果ゴールは外れたがそんなことはどうでもいい。

自分はリバウンドした直後に瞬時にいろんなことを判断していたんだということに、あのとき初めて気がついたのだ。

何度も何度もリバウンドやっていたからあの時とっさの判断で「ドリブルでいける」と瞬間的に思ったんだろう。

ちょいとバスケットボールやっていただけの私でさえ、軽くこういう体験をしているのだから、トップアスリート達はこういうのをもっともっと感じているのだろう。

人間の能力はすさまじいと思わずにはいられない。