・ふうきみそ
ある寺の和尚はやることなすこと失敗ばかり。
ある日のこと、和尚さんが寺へ帰る途中、馬にのっていかないかと小僧に言われる。
安くしておくからといわれ乗った和尚さんだったが、小僧が向かう方向と寺の方向は逆だった。
それで和尚さんは馬にのっていった道をまた歩くことになった。
ある夜のこと、となりの寺から帰ってくる途中頭に何かがぶつかった。
それが赤かったので血がでたといいだし倒れた。
だが、それは柿の実だった。
春が近づき屋根の上の雪も溶け始めた頃、寝る前に便所に入った。
自分のおしっこはとっくに出終わっているのに、雪がとける音を自分の小便の音だと思って朝まで便所で過ごした。
春になるとお彼岸で檀家をかけめぐる。
お経をあげ終わった後はお茶をもらうのだが、蕗味噌がでた。
和尚さんは蕗味噌が大嫌いだったので、一息で食べきった。
そうすると そんなに好きならもっと食べて と言われてまた出されてしまう。
また出されそうになったので急いで逃げ出す和尚さん。
次の日からが大変だった。
おばあさんが 和尚さんは蕗味噌が好き といいふらしたので、どこにいっても蕗味噌がだされた。
そして蕗味噌を食べすぎてぶったおれた和尚さんだった。
・千年大蛇と爺さん
ある山に木こりの爺さんが住んでいた。
若い頃は一日に100本も切り倒したという力自慢の木こりだったが、今では年をとり一日2本が限度となっていた。
この山にはもう一匹力自慢の1000年も生き延びた大蛇がいた。
爺さんは余ったお弁当を動物たちにわけあたえ、爺さんはいつものようにいつもの道を歩いて帰っていると、そこに大蛇がやってきて爺さんをなんとかして食べようとした。
そこで大蛇は木の下敷きになって、爺さんに助けを求めた。
爺さんは恐ろしいのも忘れて助けてやることにした。
そして罠にハマった爺さんは大蛇に食べられそうになる。
爺さんと年取った大蛇がグッダグダの戦いの末、爺さん大ピンチ。
そこにやってきた動物たち。
本当にすごい大蛇ならそれを見せてみろ という話になり、さっきの大木を大蛇の首に乗せてから逃げ出せるか試すことになった。
やってみると大木から逃げ出せない大蛇。
そしてその姿をみた爺さんは、大蛇を助け出してやった。
やっぱり年かのう という大蛇。
そして二人して笑い、年だなぁと言い合う。
「気持ちだけは若々しく」と二人でそろっていい、別れるのだった。
・孝行娘
親孝行な娘が茶店をやっていた。
病気がちなおっ母。
その頃、殿様は自分一人で城内を見て回りたかったが、叶わなかった。
城に帰ってきたところで突如馬に乗ったまま逃げ出す殿様。
川の近くで水をぶっかけられ、犬においかけられ、子供にぶつけられと散々な目にあう。
そして、孝行娘がやっている茶屋についた。
餅と茶を注文し、金を払わず帰ろうとする殿様。
当然、お金をくださいという孝行娘。
そこで、殿様は自分が殿様であるというも、周りの人は誰も信じない。
他の客にボコボコにされる殿様。
そして、それを止める孝行娘。
お代はいいですから嘘をつくのはやめてください というも嘘ではないと言い張る殿様。
そして、紋所の書かれた布をわたし、明日これをもって城へ来い、きたら代金を払ってやると言い放ち帰っていった殿様。
調べるとその紋所は本当に殿様のものだとしった孝行娘は死を覚悟して城へ向かう。
そして、自分の命はいいから母親だけは見逃してください と頼む。
殿様は、孝行なことに褒美をやり、代金も支払った。そして、これからも餅を食べに行くという。
孝行娘はひとつだけ言いたいことがあるといい「これからは裸でもお殿様とわかるような立派な殿様になってください」という。
一本取られたといい大笑いする殿様。
そして評判となった孝行娘の餅は、殿様が小袖でシラはったということから「小袖餅」と呼ばれるようになった。
・天狗の羽うちわ
どうしようもないぐうたらな男。
やることといったらサイコロをふることのみ。
丘の上にきたとしてもやることはサイコロふりのみ。
それを木の上から見つめる二つの目玉があった。
それは天狗だった。
サイコロを貸してほしいという天狗。
勝ったら貸してやるという男。
どんどん身ぐるみ剥いでいく男。
天狗は表で仰ぐと鼻が伸び裏で仰ぐと縮むうちわをサイコロと交換した。
大喜びする天狗。
男は長者どんの娘が前々から好きだったので声をかけるもツンとされる。
そこで、天狗のうちわをつかって娘の鼻を伸ばして遊ぶ。
泣き叫ぶ娘。
今度は短くして鼻をなくしてやったり、また伸ばしてやったりした。
長くなったままの鼻をそのままにして逃げ帰る娘。
医者もお祓いも鼻には効かない。
そして娘の鼻を治したら婿にするという立て札がでたので、やってきた男。
早速、うちわで鼻を短くしてあげ婿になることになった男。
大宴会の後、嫁に仰いでくれと頼む男。
そのときもっていたのが天狗のうちわ。
どんどん伸びていく男の鼻。
雲の上には天の川。
天上人がちょうど橋をかけているところに男の鼻がやってきた。
柱にちょうどいいということで男の鼻を橋に打ち付ける天上人。
痛みで気がついた男は裏で仰ぐように頼む。
だが、男の鼻は橋に打ち付けてあるので、男の身体は中に浮きどんどん登っていき、とうとう天の川の中へ吸い込まれていった。